思索✕詩作。

思索と詩作のブログ。

dear、道真。

君はまだ鬼でいるつもりかい。


君は都を思い鬼になったね。

都が恋しかったかい。

都が眩しかったかい。


でも君のおかげでこの街は大きくなった。

他ならぬ鬼になった君のせいで。

満足しているかい。

今はこの和の国の代表的な都市の一つだ。

見事な街だよ。


鬼が人を呼ぶなんて前代未聞だ。

鬼になって君は後悔するどころか満足してるだろう。

都に住めるようになったのだから。


ところで最初の質問に戻ろう。

君はまだ鬼でいるつもりかい。


君は君の望む世界を作り上げた。

鬼になって。

だからこそ鬼でいる必要はもうなくなったのではないか。


もう、その鬼の力、天に還す時がきているのではないか。

ただびとに戻る時がきているのではないか。


君とこうやって一緒に酒を酌み交わして思う。

常人でないことの意味を。

鬼であることが存在意義になってしまっていることを。


幸せは私が決めるものではない。

だからこそ問いたい。

人でなくて幸せか、と。


鬼になることで人が集まってくれる。

しかし君は人だったはずだ。

人と自分が異なることに

人と自分の間に越えられない大きな溝ができていることに

賢い君だから気づかないわけではないだろう。


君はそれで満足か。

今もまだ鬼であることに満足か。


酒はうまい。

ただ、人と鬼とでは立場が違う。

だからこそ酒の味も違う。

君はそれで満足か。




そうか。やはり鬼であることを辞めないか。

責任が生まれてしまったものな。

この街を支えるものとしての責任が。

いいんだな。

君はそれで大丈夫か。

そうか。うむ。


いらないことを言いに来てしまったようだ。

すまない。

もう一度酒を飲み直そう。



私は何者か?

君と同じ鬼としての力を自分の欲から手放せなくなった

憐れな元人間だよ。

今は鬼になった人間を探して旅をしているのだ。

あぁ、もちろん君とは格が違いすぎる。

神にも近い鬼神と呼ばれる存在では私はないのだ。


同志と酒を酌み交わせるのはうれしい。

さぁ飲もう。今夜は宴だ。