思索✕詩作。

思索と詩作のブログ。

彼岸花。

寺から木魚の音が響いてくる。
長雨だった今年も本格的な秋までもう少し。
街は夕方の喧噪で慌ただしく、
その中を、
僕は掃除道具とぼたもちとコーラを持って父のもとへ向かう。

あぁ、縦横無尽に咲き誇る彼岸花
久々にみる夕焼けが彼女たちを照らして言う。
葬送はうまく済みましたか?
お天道様に向かって彼岸花は風に揺れて頭を垂れる。

それを横目に僕は父に向かう。
花とぼたもちとコーラを備え、手を合わせた後声をかけた。
母さんも元気ですか。
返事はない。でも墓石に夕焼けが反射する。

寺の鐘が鳴った。
僕はおもむろに空を見上げた。

あぁ、遠くの空に飛行機雲。
雲は真っ直ぐお天道様のもとに向かう。
あたり一面彼岸花色の空。
流れる雲の中、死者が向こう岸へと渡っていく。

木魚の音はいつの間にか止んでいた。
僕はこみ上げてくるものをこらえ、
一人家路につく。
供え終えたぼたもちとコーラを口に入れて。

風に揺れる彼岸花は線香の匂いを纏っていた。